アートを買う時に感じたこと
ファインアーツ事業部・・・上田昌史
数年前のことです。私はアート作品(絵画)の購入を目的に、あるギャラリーを訪れました。初めてギャラリーという場を訪れるということもあり、ワクワクした気持ちでいっぱいでした。
「ここには2度と足を運ばないだろうな。」
これがこのギャラリーを出るときの私の感想でした。
アートにそれほど精通していない人間にとっては、ある種のギャラリーというのは非常に敷居の高い場所なのです。
作品の制作技法、
作品の仕入ルート、
作品の希少性、
そして、そのギャラリーの業界内の位置づけ・・・
ギャラリストの彼が語るその内容は、そのときの私にとっては必要のない情報でした。
私は、部屋に飾る絵が欲しかったのであり、絵画というものをインテリアの選択肢のひとつと考えていました。つまり、アート作品そのものを所有することを望んでいたのではなく、「空間を潤いのあるスペースに変えることのできる何か」を求めていたのです。
同じモノを対象にした場合でも、人それぞれ様々なニーズがあります。そもそも表面に見えているニーズというのは個々別々で多様なものです。
買う立場と売る立場。
お互いの視線はどこを向いているでしょうか。
ファインアーツ事業部の事業運営は、マーケットアウトの理念に基づいています。
顧客のニーズを起点として、市場からビジネスをつくりあげていく。これをマーケットアウトと定義しています。つまり、売る立場の者が、買う立場の視点で、売る立場の自分自身を見ることと言えます。
現在のアートマーケットは、
1.アーティストが制作した作品をまずギャラリーが売り出し(プライマリーマーケット)
2.それがオークション等を通じて、さらに値を付けバリューを形成する(セカンダリーマーケット)
というような基本構造になっています。
供給者の論理の上に成り立ったプロダクトアウトな構造となっています。
私は、プロダクトアウトなアートマーケットは破壊すべきだ、などと言うつもりはありません。ことアートに関して言えば、アートそのものがプロダクトアウト的な要素を多分に含んでおり、それに対するニーズは正に多種多様なものです。
しかし、プロダクトアウトな構造が、流通の不合理性、価格の不透明性を生み、故に満たされないニーズというものも存在させているのも事実です。
自分が気に入ったアート作品を自分なりの方法で自由に楽しむ。
「安心、納得」して作品を「買ったり、売ったり」できる場があれば、アートはもっと身近に楽しめるモノになるはずだと実感しています。
アーティストの方々と話しをしたり、アート作品を鑑賞したりしていると、無から有を生み出すその力に元気をもらうことがあります。私はアート作品を生み出すことはできませんが、マーケットアウトの視点による新たなアートマーケットの創造を実現したいと強く願っています。
今はまだ存在しないそのマーケットを創造できたとき、「アートで元気」になっている人がまた増えていることでしょう!