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【コラム】マーケットアウトの現場から Vol.13


私はただ、風邪を治したかっただけ
事業開発室・・・島田博典

暑くなったり寒くなったり、妙な天気が続いたせいで夏風邪を引いてしまったので、薬局に行きました。
わざわざ病院にいくほどの大げさな症状でもなく、普通のよくある総合感冒薬を飲めばすぐに治るかな、という程度です。

奥の方から、見るからに頭のよさそうな、銀縁の四角い眼鏡をかけた白衣の薬剤師の方が、ちょっとだるそうに出てきました。
さっそく彼に症状をうったえたところ、「これが、バツグンに効いちゃいますよ。」と見たことも聞いたこともない一見マニアックそうな薬の箱を後ろの棚から出してくると、目の前のガラスケースの上にポコッと置きました。

その薬は、パッケージの色合いも古めかしい感じで、名前も聞き慣れない響きで、製薬会社名も聞いたことがあるようなないような。。。
どう見ても、売れ筋の薬とは思えません。
とはいえ、確かに、テレビコマーシャルでよくみる薬だからよく効く、有名な会社の薬だからよく効く、という訳でもないでしょう。
結局、その薬剤師の方の知識と提案力を信用し、言われるがままに薬を購入しました。

念のため、自宅に戻ってから、インターネットでその薬を調べてみたのですが、あまりメジャーな薬ではないようで、私の症状によく効くのかどうか、素人にはまったくよく分かりませんでした。
もはや、信じるしかない状況です。

ところが、しばらく服用を続けたのですが、効き目がまったくあらわれません。
ひどくなることもないのですが、ちっともよくならないのです。
そのうち服用するのをやめて1週間ほど放置していると、風邪は自然に治ってしまいました。
少なくとも、この薬のおかげで治ったのではなさそうです。


あの賢そうな薬剤師の方は、本当に、私のうったえた症状にもっとも効くであろう薬、もっというと、この私の身体にあった、私の病気が治りそうな薬、という視点で薬を選択し、提案してくれていたのでしょうか?

もしかすると、単にあまり売れない薬の在庫処分をしたかっただけではなかったでしょうか?
さらには、あの薬じゃ治りませんでした、といって再び僕が別の薬を買いにくることを期待していたということはなかったでしょうか?
実際のところは分かりません。
とても親身になって、持てる知識を最大限に使った上で、あの薬を心から薦めてくれていたのかもしれません。
そうだとしたら、私の邪推はとても失礼な話です。

ですが、少なくとも、消費者にそういった疑念を抱かせてしまう不透明感があるということ自体、この医薬業界も、まだまだマーケットアウトに転換できる余地があるのではないでしょうか。

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