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【コラム】マーケットアウトの現場から Vol.9


ペットの世界でのマーケットアウト
コーポレートセンター・・・中島大輔

いま我が家では犬を飼っています。耳が長くて毛が長いアメリカンコッカスパニエル のメイビーです。いまではすっかり我が家の立派な家族の一員です。 いや、というより、すっかり我が家の立派な中心的存在です。

最近世の中にはペットにかかわる様々なサービスが数多く普及して来て いますが、まだまだこの分野においては本当に顧客が求めているサービスが 欠けているのではないかと感じることがあります。

昨年、メイビーの首の辺りに小指の先ぐらいのできものができたので、 いつもの皮膚病ではないかと軽い気持ちで近くの動物病院で診てもらったところ、 そのできものは、肥満細胞腫といわれる犬特有の悪性腫瘍(ガン)であることが発覚しました。 放っておくと 全身に転移し、最後は合併症で死に至るという怖い病気です。 すぐに担当獣医と治療方法について相談をし、外科療法(腫瘍切除)、化学療法(抗がん剤)、 放射線治療などのいくつかの選択肢があることを教えてもらいました。

この中で最も治癒率が高いのは放射線治療と言われていますが、この治療は町の 動物病院ではできないため、全国にいくつかしかない大学の専門病院に行くしかなく、 週一回の通院の手間や高額な治療費などのことを考えると、殆どのペットオーナーは 断念をさぜる状況のようです。私の場合も、この治療方法は断念し、 ベストの選択肢ではありませんでしたが、外科手術で腫瘍を切除し、 最終的には抗がん剤投与を約6ヶ月間続けることにしました。 またその抗がん剤も現在の日本国内の抗がん剤は効果が極めて低いため、 国内でまだ普及していない米国の抗がん剤をわざわざ1ヶ月かけて輸入して もらい投与しました。

結果的には、担当獣医も「前例がない」と驚くぐらい、奇跡的に病状が回復しています。 一番効果のあると言われている放射線治療を受けなくても、結果的には良かったのですが、 やはり受けたい治療がすぐに受けられないというジレンマをつくづく感じた出来事でした。

近年、動物病院もサービス精神が旺盛な若い獣医さんが増えており、顧客が求める 1次的ニーズである情報開示や顧客への丁寧な対応については以前よりも随分進歩した ように感じます。その点では、マーケットアウトな市場には近づいているような 気がします。

しかしながら、ガンだけではなく、動物医療全般についていえることは 動物医療の先進国の欧米諸国と比較して、医療のレベルもさることながら 医療を受ける側からみて、動物医療の選択肢・利便性においてまだまだ差があるようです。 担当獣医から聞いた話しでは、人によっては、このような深刻な病気が 発覚したときでも、どの治療方法も選択せずに、ペットが死を迎えるのを待つのを 選択する場合も多いとのこと。

果たして、いつの日かペットが日本の社会の中で確固たる市民権を獲得し、 人間と同等のサービスを選択できる時代が来るのでしょうか。 そう考えたとき、動物医療の分野はもちろんのこと、ペットの世界には まだまだ顧客視点に立脚したマーケットアウトの余地が十分にありそうです。

ただ、我々が理解しておかなければならないことは、言葉を話すことができない ペットに対し人間のエゴでそこまでの治療やサービスを与えることが本当に 彼らにとって幸せなのかという疑問を常に忘れずにいることではないでしょうか。。。

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