今、なぜベンチャーファクトリーなのかということについて、もう少し話をしてみましょう。
皆さんもご承知の通り、今ベンチャー業界は全く元気がなくなっています。いいベンチャーが育たない、IPOをしてもそれからおかしくなる企業が続出する。 投資家は新興市場に投資をしない。従ってIPOする企業がどんどん減少、VCなども淘汰の時代に入った。
一国の経済が成長するためには、新しい事業をどんどん興してゆくことが必要ですが、わが国ではこの機能が疲弊しています。それはなぜでしょうか。
今のベンチャーシステムは欧米、特に米国で発達しました。そこでは個人主義が確立され、プロフェッショナルな仕事の仕方が定着しています。従って一つのいい事業のアイディア、構想が生まれるとプロの経営者や専門家が集まって、一つの事業を創るというシステムが出来上がっていました。それに対して、わが国では個人主義が未発達な上に、プロフェショナルな仕事のやり方が定着していません。
そのためにわが国の若いベンチャー経営者は八面六臂の活躍と、数少ない幸運に恵まれることが必要になります。従って成功の確率は極端に低くなるのです。
今のベンチャーシステムは、欧米からの直輸入品であり、日本又は日本人に合っていないのではないと考えられます。わが国は欧米や、中国などのアジア諸国に比べても、かつてどこからも侵略されていない島国で、しかも単一民族の日本人は独特な資質を持っています。その日本人の特徴を生かした新しいベンチャーシステム、新しい事業創出の仕組みを創るべきではないでしょうか。
それが我々が目指すベンチャーファクトリーです。では、ベンチャーファクトリーとはどんなものなのでしょうか。
(1)一人のカリスマではなく、集団の力を結集するもの。
ベンチャーファクトリーは、一人のカリスマが初めからずっと一つの事業を創ってゆくのではなく、工程別、機能別の専門家がそれぞれの強みを結集して一つの事業を創ります。
わが国は戦後の高度成長期に、個人としての力ではなく、会社の組織として個人の力を結集することで、日本独自の集団の力を発揮してきました。日本人は一人では弱いが集団になると強いといわれてきました。
ベンチャーファクトリーは、この集団の力を最大限に発揮することで、新しい事業を創ってゆこうとするものです。
(2)「思い入れ」の問題。
従来のベンチャーシステムでは、起業家の、その事業に対する「思い入れ」が源動力となって起業が成功すると考えられています。しかし、その「思い入れ」が逆にベンチャー失敗の原因になったり、あるいは小さなビジネスで終ってしまう要因になる場合の方が、よほど多いのではないかと考えられます。「思い入れ」が強いあまりに、その人の思いが先行して、ビジネスに客観性がなくなることがよくあります。
個人で出来る範囲はそんなに大きくはありません。
エムアウトに於いては、例えば、事業部の事業部長は、その事業だけを成功させるという「思い入れ」ではなく、ベンチャーファクトリーとしてのエムアウトを成功させよう、そのための一環として携わる事業を成功させるという「思い入れ」が必要なのではないでしょうか。
我々が目指すものは、それ程に、大きな構想であり、大きな経営者を必要としているのです。
(3)プロの経営者の育成。
わが国にはプロの経営者がいないと言われてきました。
戦後、わが国の企業は、「年功序列」「終身雇用」という独自なシステムで高度成長をなし遂げてきました。
従ってわが国には、一つの企業しか知らない、一つの業界しか知らない経営者ばかりになってしまったのです。
それでは、プロの経営者とはいえません。
ベンチャーファクトリーでは、色々な事業、色々な業界、色々な工程を経験することで、新しい時代の経営者を育成することができるのではないかと考えています。
そのためにエムアウトでは人財の流動化を促進し、「着眼大局、着手小局」を実践する経営のプロ集団にしなければなりません。
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