会長メッセージ

【会長語録】「ウーバー創業者 トラビス・カラニック氏の退任について」



Q:  ウーバーの創業者であるトラビス・カラニック氏が社員のセクハラ被害、暴言など問題が次々に噴出し、CEOを退任しました。このようにビジネスの才覚があっても、人格が伴わない経営者についてどう思いますか?

A: 
【1】 トラビス・カラニック氏の生い立ちと退任までの経緯。

人よんで「トラビス・カラニック氏のジェットコースター人生」と言われています。
トラビス・カラニック氏はロスアンゼルス郊外で育ち、学校の成績は優秀で、アメフトや陸上競技をこなす運動神経の良い少年でした。幼少期に年上の生徒たちからいじめられた彼は、他人から圧力を受けないと強く心に誓った、ということです。

18歳で初めて起業。ビジネスはSAT(アメリカの大学に入学する前に受けるテスト)の準備講座だった。
その後コンピューター・エンジニアリングを学ぶ為UCLAに入学。クラスメートと仲間同士のネットワーク検索エンジン「Scour」を開発して起業する。しかし法的な問題で倒産。その後、ネットワークソフトウエア開発会社 Red Swoosh を立ち上げ、再起を図る。順調に成長するも、またもや法的なトラブルで上場が難しくなり、Red Swoosh をある会社に2300万ドル(25億3000万円)で売却、大金を手にする。

2008年「テクノロジー・カンファレンス」に出席して、ウーバーにつながるビジネスアイディアを思いつく。ボタン一つで車が来る配車サービスのコストを下げる新たな方法を考え出していく。3人の友達とUber Cabを立ち上げ、サンフランシスコ市内であればボタン一つで車を呼ぶことが出来るというものだった。それが利用者の大きな人気を集め、ウーバーは115億6000万ドル(1兆2716万円)の資金を調達する。2011年にはニューヨーク、同時に海外でパリに進出。その後順調に成長し直近の企業価値は690億ドル(7兆5900億円)となった。

2017年2月ウーバーの元従業員の女性が、社内でセクハラを受けたことや、性的偏見にさらされたことを告白。それ以降、ウーバーにとって悪いニュースが次々と明らかになる。同社の複数の従業員が社員旅行中にコカインを使用したとか、複数の女性への痴漢行為で幹部が解雇されたなど。更にカラニック氏の両親がボート事故に遭遇し、母親は死亡し、父親も重症となる。2017年6月にはカラニック氏の右腕として知られた上級副社長が辞任する。そんなことがあって、トラビス・カラニック氏は投資家の要求を受け入れて辞任することとなった。


【2】 トラビス・カラビック氏の生い立ちとウーバーCEO退任までの経緯を見て感じることをいくつか挙げてみましょう。

(1) カラニック氏は起業家であって、経営者ではなかった。
0−1の起業家はある意味では、非常識で、傲慢、無鉄砲なところがなければなりません。1−10、又は10−100の経営者は常識人であるがすぐれた人間性とパワーを持った人でなければなりません。従ってカラニックは経営者というより、起業家であったと思います。そこで考えることは起業と経営は分けて、分業化するのがいいのではないでしょうか。起業は起業のプロに任せることが、成功の確率をあげる、またスケールの大きな起業を可能にする必須の条件になると思います。

(2) カラニック氏のサクセスストーリーはアメリカだから出来たことで、日本では難しい。
カラニック氏は何回も失敗し、その都度再起し、成長して成功に至っています。アメリカには失敗がプラスに働く環境があり、起業のエコシステムが確立されています。日本にはそれが ないため、日本独自の起業のエコシステムを創る必要があります。それがエムアウトが目指しているスタートアップファクトリー(起業を量産するファクトリー)ということになります。

(3)変化のスピードが益々早くなる第4次産業革命の時代には、0−1の起業はあらゆる企業にとって、必要な条件となって来るのではないでしょうか。大企業と言えども、今のビジネスを改善、合理化によって成長発展させるだけでなく、常に新しい事業を開発して、絶対的付加価値を創出し続けなければ、この激しい変化の新しい時代を乗り切ることは出来なくなってくるのではないでしょうか。

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