会長メッセージ

【会長語録】「発展形について」「大企業におけるマーケットアウトの限界について」



Q1:発展形について
「マーケットアウトビジネスに成功する6つの条件」にある「発展形」の考え方は、どうやって作り出していけばいいのでしょうか。」



A1: マーケットアウトビジネスに成功する6つの条件」の一つとして、「発展形が見えていることがあります。そのことについていくつか考えてみたいと思います。

【1】「発展形」が6つの条件に入った理由。
「発展形が見えていること」とは新しいアイディア、新しいビジネスモデルが発展して行った時、どんな企業になっていなければならないかがあらかじめ見えていることが必要だと言うことです。
いいアイディアや、いいビジネスモデルを立ち上げても、スピーディーな展開が出来ないと、後から追いかけて来るベンチャー企業に追い越されてしまいます。
発展形がはっきり見えていれば、次々と新しい戦略を打ち出して、追いつかれても常に一歩先を行くことが出来て、先行者メリットで他社をかわすことが出来ます。発展形のない戦術レベルの差別化によるビジネスモデルの場合、あるところまで行くと、次が出ないため、後追いのベンチャー企業と同じになり、価格競争になってしまって、儲からないビジネスになってしまうことがよくあります。


【2】「発展形」の設定について。
アマゾンが1994年にインターネット書店を始めた時、私たちは書店業界の革新が始まったと思ったものです。しかし、アマゾンCEOジェフ・ベゾスの頭の中には、エブリシングストア、21世紀の新しい流通があったのだと思います。したがって次々と新しい戦略を打ち出し、その後20年で売上高15兆円、時価総額52兆円の巨大企業に成長しました。
最初からアマゾンの発展形は「21世紀の新しい流通」 だったのだと思います。
ミスミは当初、プレス金型用標準部品から始めましたが、目指す目標は生産財市場の流通革命であり、生産財市場の新しい流通でした。それがミスミの発展形であり、現在も素晴らしい成長を続けているのだと思います。
このように起業の時点でその企業がどのような発展形を描くかによってその企業のスケール・レベルが決まると思います。




Q2: 大企業におけるマーケットアウトの限界について。
「資生堂がマス広告ですり込む従来のやり方とは一線を画し、消費者のリアルな声に徹底的に耳を傾ける新手法でブランドを新たに立ち上げました。時代はまさにマーケットアウトの方向に進んでいることは間違いないと思いますが、プロダクトアウトから完全に脱却できるのでしょうか。」



A2: 大企業のマーケットアウトの限界について考えてみましょう。

【1】 大企業に対して、ベンチャー企業の唯一の有利点は何か?
それは何も持っていないということです。ベンチャー企業は何も持っていないために、全く新しいアイディア、発想が出てきて、全く新しいマーケットアウトビジネスを立ち上げることが出来るのです。大企業は人材、資金、ノウハウ商品、経験、信用、技術、設備、ブランドなどあらゆるものを持っています。従ってビジネスそのものがプロダクトアウトビジネスになるのだと思います。

【2】 大企業のマーケットアウトの限界
質問にある「資生堂の消費者の声に耳を傾けた新手法によるブランド」はあくまでも、ブランド開発の手法における部分的なマーケットアウトであって、資生堂 のビジネスは「いいものを創って売る」プロダクトアウトビジネスであることには変わりはありません。それがあらゆるものを持ってしまった企業におけるマーケットアウトの限界になるのだと思います。
従って大企業はより、絶対的付加価値の大きな、全く新しいビジネスモデルを常に開発しなければならなくなってきました。


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